News Releaseニュースリリース
2001分散型映像制作・配送プラットフォーム運用の共同実験を開始~ブロードバンド時代のマルチアングル多チャンネル放送に向けて~
2001年6月4日
日本電信電話株式会社
NTTコミュニケーションズ株式会社
NTTスマートコネクト株式会社
朝日放送株式会社
松下電器産業株式会社
分散型映像制作・配送プラットフォーム運用の共同実験を開始~ブロードバンド時代のマルチアングル多チャンネル放送に向けて~
日本電信電話株式会社(以下、NTT、代表取締役社長:宮津純一郎)、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com、代表取締役社長:鈴木正誠)、NTTスマートコネクト株式会社(以下、NTT-SMC、代表取締役社長:伊藤彰敏)、朝日放送株式会社(以下、朝日放送、代表取締役社長:柴田俊治)、松下電器産業株式会社(以下、松下電器、代表取締役社長:中村邦夫)は、将来のマルチアングル多チャンネル放送をブロードバンドネットワーク上で実現することを目指した分散型映像制作・配送プラットフォームの構築・運用に関する共同実験を本日より平成14年3月末まで実施いたします。また実験の一部のコンテンツは、ブロードバンドアクセス回線*1の一般利用者の方々にも公開する予定です。
<実験内容>
光を中心としたブロードバンドIPネットワーク*2の本格的な導入が始まり、放送業界や映像コンテンツ制作者などから、これまでにない魅力的な映像コンテンツをより低コストで制作・配信できるインフラに対する期待が高まっています。従来は、映像コンテンツの制作に際しては、映像を収録地点から衛星回線やVtrテープを介して編集局に送り、編集後の映像をさらに専用回線やVtrテープを介して配信局に送る、という形式【図1参照】を取っていたため、専用回線やVtrテープのコストが何重にもかかっていました。さらに、スポーツ中継やコンサートなどをマルチアングルで撮影した映像をマルチチャンネルで放映することは、複数映像素材の同期を保ちながら編集する作業の煩雑さや、伝送帯域を確保するためのコストが何倍もかかる点から、実現が難しい状況でした。
そこで、NTT(情報流通プラットフォーム研究所)、NTT Com、NTT-SMC、朝日放送、松下電器の5社は、マルチアングルで撮影したコンテンツなど、複数拠点で収録・制作された映像をブロードバンドIPネットワークを介して、より低コストで放送局やデータセンターに集約し、効率的に編集・再送出することができるコンテンツ流通網*3(CTN:Content
Trading Network)【図2参照】を構築・運用する共同実験を行います。
また今回の実験では、映像素材伝送だけでなく映像配信にもコンテンツ配信網*4(CDN:Content Delivery Network)などのブロードバンドIPネットワークを適用し、マルチアングルの多チャンネル放送やローカル局制作コンテンツの全国放送などを、これまで以上に低コストで実現できる可能性について技術検証を行います。
<実験の特徴>
本共同実験では、スポーツ中継やコンサート中継をマルチアングルで撮影し、ブロードバンドIPネットワークを介して放送局やデータセンター間でのマルチチャンネルの高品質映像素材の伝送や編集・加工を行います。また一部の映像は、最終的にコンテンツ配信網を通してブロードバンドアクセス回線の一般利用者の方々に試験的に配信します。
<各社の役割>
朝日放送 | 同社が開発したマルチ素材映像収録方式*5を適用し、スポーツ中継やコンサート中継をマルチアングルで撮影し、より魅力ある映像素材を制作する |
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松下電器 | 同社が開発した高画質映像伝送方式(DVCPRO IP伝送装置)*6を適用し、収録された映像素材をIPネットワーク上で伝送する。 |
NTT | 情報流通プラットフォーム研究所が開発した、広域マルチストリーム同期方式(UniSync)*7により、IPネットワーク上での広域映像同期伝送を実現するとともに、同研究所の開発した映像ストリーミング中継方式(LSS)*8を適用し、編集した映像ストリームを複数の送出拠点に効率的に同時配送する。 |
NTT Com | 同社が今回提供する高信頼なブロードバンドIPネットワークを使って広域のコンテンツ流通網を構築する。 |
NTT-SMC | 同社が提供するデータセンター環境において、マルチ映像コンテンツ蓄積・配送技術*9を適用し、映像コンテンツをサーバに蓄積、配送する。 |
<今後の予定>
今回の共同実験では、まず6月6日から幕張メッセで開催されるNetworld+Interop 2001 TokyoのNTTグループの展示ブースにおいて、遠隔地の映像サーバからIPネットワークを介して伝送されるマルチアングル映像を同期再生するデモを公開する予定です【図3参照】。
その後もスポーツ中継などの映像を、ブロードバンドアクセス回線を介して一般の利用者の方々に各種端末によるマルチバリエーション*10で体験いただける公開デモを予定しています。
これらの公開実験を通して、光を中心としたブロードバンドネットワーク時代の放送技術を評価し、将来の本格サービスのあり方を検討していきます。
<用語解説> | |
*1 | ブロードバンドアクセス回線 ブロードバンドIPネットワークでコンテンツを流通する際に、特に伝送速度の点でボトルネックとなりやすいアクセス回線部分を広帯域化したもの。xDSLやCATVから光ファイバー(FTTH: Fiber-to-the-Home)まで、伝送速度や媒体の種類が多様。 |
*2 | ブロードバンドIPネットワーク 従来のWEB閲覧を中心としたインターネットとしての利用だけでなく、テレビ放送並みの品質の動画伝送や、音楽などの大容量のコンテンツ流通をスムーズに行うことを目指した、より広帯域のIP(Internet Protocol)準拠のネットワーク。 |
*3 | コンテンツ流通網(CTN: Content Trading Network) エンドユーザへのコンテンツ配信を主体とするコンテンツ配信網に対して、コンテンツホルダーや制作者、編集者など、コンテンツ制作や流通に係る業界内でのより効率的な流通を目的とするネットワーク。今回の共同実験で新たに提案するコンセプト。 |
*4 | コンテンツ配信網(CDN: Content Delivery Network) ブロードバンドIPネットワークを利用して、主にエンドユーザまでのコンテンツ配信を行うことを目的とするネットワーク。 |
*5 | マルチ素材映像収録方式 将来のマルチアングル多チャンネル(マルチストリーム)放送を実現するために、スポーツ中継などで同期した複数の規格の異なる映像ストリームを、統一したタイムコードで収録する方式。 |
*6 | 高画質映像伝送方式(DVCPRO IP伝送装置) スタジオ素材品質の映像記録・再生装置(DVCPRO)の入出力信号を、IP(Internet Protocol)準拠の形式に対応させる方式。映像記録・再生装置を、直接ブロードバンドIPネットワークに接続することができる。(DVCPROは松下電器の登録商標です。) |
*7 | 広域マルチストリーム同期方式(UniSync) IPネットワークで伝送する映像信号を、ISDN網から抽出した広域同期している基準信号と組み合わせて伝送することにより、非同期網であるIPネットワークで正確な同期を保ちながらスタジオ素材品質の映像信号伝送を行う方式。本方式により、複数の映像信号を正確に同期伝送・再生・切替できるため、将来のマルチアングル放送にも応用できる。 |
*8 | 映像ストリーミング中継方式(LSS) 映像ストリームサーバから配信される映像パケットを、複数対地へ向けてリアルタイムでコピー・配送するスプリッタ型ストリームスイッチの方式。CTNやCDNで、主にエンドユーザ向け配信素材を中継する際に利用できる。本方式により、PCサーバ1台でギガビットクラスのトータルの配送能力を実現でき、PCサーバ上で動作するソフトウエア型スイッチとしては世界最速を実現した。(従来比約10倍のコスト性能比) |
*9 | マルチ映像コンテンツ蓄積・配送技術 マルチアングルで撮影した大容量の映像コンテンツを、送信拠点からブロードバンドIPネットワークを経由して受信し、アーカイブとして蓄積し、さらにコンテンツの編集者や送信局からの要求に応じて随時配送する技術。 |
*10 | マルチバリエーション 収録した映像素材を、配信するエンドユーザの端末やアクセス回線速度の違いに応じて、複数のストリーム形式や伝送速度に対応させること。ブロードバンド社会において、映像を視聴する環境が多種多様になることが想定されるため、コンテンツ制作に関わるコスト性能比を上げるために重要な条件になると考えられる。 |
・図1.映像制作・配送の現状(例)
・図2.分散型映像制作・配送プラットフォーム
・図3.広域映像同期技術(UniSync)を用いたマルチアングル映像制作・配送
【本件に関する問い合わせ先】
日本電信電話株式会社
NTT情報流通基盤総合研究所
企画部 広報担当 倉嶋、佐野、池田
Tel:0422-59-3663
NTTコミュニケーションズ株式会社
ネットワーク事業部 IPネットワーク部
IPソリューション部門
第一IPソリューション担当 田中
Tel:03-6700-5173
NTTスマートコネクト株式会社
経営企画部 事業企画担当
Tel:06-4797-8870
朝日放送株式会社
インターネット事業部 増田
Tel:06-6457-5853
松下電器産業株式会社
コーポレートコミュニケーション本部
広報グループ 津村
Tel:03-3436-2621